2026.05.20

競技会報告

World Aquatics OWS World Cupイビザ大会&ゴルフォアランチ大会 報告

執筆者:OWS日本代表コーチ 吉田龍平

日時:2026年4月20日(月)~5月3日(日)
場所:スペイン・イビザ、イタリア・ゴルフォアランチ

昨年と同様に、今年もWorld Cupイビザ大会がスペイン(イビザ)の美しい海で開催された。パンパシフィック水泳選手権の強化事業として、日本選手団は男子4人、女子2人の派遣で大会に挑んだ。水温は17度から18度で非常に冷たかったが、パンパシフィックの会場も低水温が想定されているため、絶好の強化環境となった。今年も10kmと3kmノックアウトはWorld Cup、5kmはスペイン選手権として合同開催となった。選手たちは大会に向けて順調に調整を行った。

初日は10kmのレースだったが、前日の夜に天候が崩れ、大波での大会に。水温は18.6度でウエットスーツなしでのレースとなった。女子は68人がエントリーされ、日本からは梶本一花、蝦名愛梨の2人が出場した。

序盤からオーストラリアのモエシャ・ジョンソンがレースを引っ張り、2人とも必死に食らいつくレースが展開された。ラスト2周あたりから蝦名が先頭集団から遅れをとった。梶本は粘りを見せたが、最後は離されてしまい、梶本が11位、蝦名が16位でゴールした。2人とも入賞を目指していただけに力及ばず悔しい結果となってしまった。

男子は、日本からは南出大伸、辻森魁人、江沢陸、田渕海斗が出場した。前半からスローペースでレースが展開され、4選手とも40人程度の先頭集団で泳いでいた。中盤にかけて田渕と江沢が先頭集団から離れてしまい、田渕が50位、江沢が48位でのゴールとなった。南出と辻森は最終周回まで先頭集団で泳いでいたが、最後の1周で先頭集団から離されてしまい、南出は37位、辻森は38位でのゴールとなった。全員が今まで体感したことのない厳しい環境でのレースとなり、悔しい結果であったが素晴らしい経験を積むことができた。

翌日行われた、3kmノックアウトスプリントでは蝦名、梶本共に予選を通過し準決勝に駒を進めた。蝦名は惜しくも準決勝で敗退となったが、梶本は世界水泳選手権優勝者として決勝でも力泳を見せ、銅メダルを獲得した。男子は参加人数が多く予選が3組でのレースとなった。3月の大会において1500mで日本記録を更新した田渕を筆頭に4人が参加した。辻森以外の3人は初出場、辻森は世界ジュニア選手権で優勝を経験していたものの、今大会では全員予選落ちと悔しい結果となった。

3日目はスペイン選手権の5kmに参加した。World Cupより人数は少なかったが、女子は35人が出場した。蝦名と梶本は積極的にレース展開を行い、梶本は2位、蝦名は12位でのゴールとなった。男子は50人が出場し、10km同様、30人程度の先頭集団でのレースとなった。4選手はレース中も接触が少ない良いポジションで泳ぎ、10kmの反省を生かしたレースができた。しかし最後は離されてしまい、江沢が13位、田渕が14位、辻森が16位、南出が17位であった。

イビザ大会は各自の目標には届かず厳しい結果となったが、今までにない環境でレースを行うことができ、パンパシフィックに向けて良い強化になった。

今回の遠征は2連戦。イビザ大会が終わるとイタリアのサルデーニャ島に移動し、週末のゴルフォアランチ大会に向けて調整を行った。ゴルフォアランチもイビザ同様、透明度抜群の会場であり、水温も同じくらいであった。レースは男子が先にレースが行われた。水温は18.3度でウエットスーツなしでのレースとなった。男子は序盤から江沢が10位あたりを泳ぎ、好スタートを切った。ほかの3選手は30位から50位ぐらいの混戦の位置で1周目を終えた。中盤から辻森と南出が順位を徐々に上げて先頭集団の後方でレースを展開した。江沢と田渕は徐々集団から離れてしまい、独泳しなければならない場面もあり、結果として田渕が44位、江沢が58位でゴールした。最後の1周で辻森、南出の2人とも粘りを見せたが、南出が先頭集団から離れてしまう。辻森は何とか粘るも、南出が31位、辻森は30位でのゴールとなった。

女子は、男子のレース後に行われたが、レース前の水温チェックで18度を切り、ウエットスーツを着用してのレースとなった。スタート直後からオーストラリアのジョンソンが独泳状態に入り、1周目を17分51秒と驚異的なスピードで泳ぎ、2位以下を約20秒離してのレース展開となった。蝦名、梶本の両選手は2位以下の集団で良いポジションを取りながらレースを展開した。結果、最後までジョンソンは1人で泳ぎ切り優勝。梶本は初めてのウエットスーツでのレースであったが、最後のスパートがうまくいき、自身最高順位の7位入賞を獲得した。蛯名は最後の一周で離されてしまい、13位でのゴールとなった。

次の日には午前中にリレー、午後にノックアウトスプリントとタフな1日となった。日本チームは蝦名、梶本、辻森、南出の順番でリレーに挑んだ。リレーはイタリアとオーストラリアが2チームエントリーを行い、10チームでのレースとなった。前半では、蝦名と梶本が粘りを見せた。先頭集団のアメリカとメキシコがコースを間違えるハプニングもあり、梶本が2位で辻森にバトンを渡した。辻森は後ろからフランス、イタリア等の猛追もあったが粘りのレースを展開し、4位で南出にバトンを繋いだ。2位以下の5チームが混戦のまま4泳者にバトンが渡された。粘りたい南出だったが、各国のエースにスピードで離されてしまい、日本は6位でのゴールとなった。

午後のノックアウトスプリントは男子から始まり、4選手は前回の反省を生かし、予選ラウンド通過を目標に挑んだ。4人とも先頭集団に食らいつく力泳を見せたが、タッチ差で予選通過を逃した。

男子に続き、女子のノックアウトスプリントが開催された。蝦名、梶本の両選手は共に予選を難なく通過した。準決勝では12人が5秒差以内の混戦となったが、蝦名が好位置を取り8位で通過。梶本は惜しくも11位でゴール。10位とはわずか0.6秒差で本人も位置取りが難しかったと悔しさを滲ませていた。蝦名は自身初の決勝に進出し、積極的なレースを展開し、準決勝より順位を上げて、6位でゴールをした。

2試合を通じて、男子と女子のレース展開には大きく違っていた。男子の場合、前半はスローペースで、ラスト1周で急激にペースが上がるレースが多かった。優勝候補が多くいるので、選手同士が駆け引きをしながら牽制しているように見えた。また若手の台頭も多く、ハンガリーのダビド・ベトレヘムやフランスのサシャ・ベリーやメキシコのパウロ・ストレールケ・デルガドなど若い選手が目立っていた。日本人選手もラスト1周まではトップ集団にいるが、そこから離されてしまう選手が多い。何としてでも最後まで競り続けられる選手になるために強化が必要だと感じた。

女子は梶本、蝦名共に入賞を目標に挑み、梶本は自己最高位の7位、蝦名はノックアウトで初めての決勝など成果も見られたが、今大会でも絶対王者であるオーストラリアのジョンソンに食らいつけるようにさらなる強化が必要である。今回はパンパシフィックに向けた強化事業としての遠征であったが、ライバルになるアメリカやオーストラリアを常に意識しながら、残り3カ月をしっかり強化し男女共にメダル獲得を目指す。

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