2026.07.08

その他報告

第9回 ニップン「食と水泳教室」レポート

執筆者:公益財団法人日本水泳連盟 生涯スポーツ・環境委員 石塚千輝

【期日】 2026年5月31日(日)
【場所】 東邦高等学校・東邦スイミングクラブ(愛知県・名古屋市)
【ゲスト】 岩崎恭子 氏(バルセロナ、アトランタ五輪日本代表)、砂間敬太 氏(東京五輪日本代表)
【派遣委員】 生涯スポーツ・環境委員会 渡辺副委員長、石塚委員、競泳委員会 髙木委員

2026年5月31日、愛知県名古屋市の東邦高等学校・東邦スイミングクラブにて、株式会社ニップンと公益財団法人日本水泳連盟が共催する「食と水泳教室」を開催した。

第9回となる今回は、ゲストとしてバルセロナ五輪金メダリストの岩崎恭子氏と、東京五輪日本代表の砂間敬太氏を迎え、食育教室ならびに水泳教室を実施した。当教室には、東邦スイミングクラブと東邦高等学校水泳部に在籍する小学校2年生から高等学校3年生までの幅広い年代の選手、延べ47人が参加した。

第1部の食育教室では、東邦スイミングクラブの強化合宿等における栄養サポートや、ロンドン五輪競泳日本代表への帯同経験を持つ管理栄養士の柴崎真木氏をファシリテーターに迎え、ゲストオリンピアン2人によるトークショー形式の講演を行った。

メインテーマは「トップアスリートの経験から学ぶ、食事と身体づくり」とし、子どものころの食習慣や成長期の身体作り、試合期の食事や補食、緊張との向き合い方など、参加者の関心に沿った内容について話をうかがった。

子どものころの食事について、身長180cmの砂間氏は、ご飯(お米)が好きでよく食べていたことが、現在の恵まれた体格や競技者としての身体作りの土台につながったのではないかと語った。一方で、トマトだけは昔から苦手で、現在でもなかなか気の進まない食材であることを明かし、オリンピアンにも苦手な食材があるという率直なエピソードに、会場からは驚きや笑いも起こった。

岩崎氏は、幼いころから野菜をよく食べていたことや、家庭菜園などを通じて食材に触れる機会があったことを紹介した。また、成長期における女性アスリートならではの身体の変化や困りごとについても触れ、食材の調理方法や食べる順番を意識するなど、具体的な工夫について参加者に伝えた。両氏の話を通して、トップアスリートも成長期には身体作りや食事に悩みながら競技に向き合っていたことが伝わり、参加者は真剣な表情で耳を傾けていた。

また、柴崎氏からは、子どもの食事では栄養バランスだけでなく、「食事の時間を楽しいものにすること」が大切であり、食べることを通して自分の身体を大切にする力を育てることが重要であるとの話があった。参加者のみならず、会場を訪れていた保護者が真剣にメモを取る様子も印象的であった。

そのほか、数々の国際大会を経験してきた両氏ならではの話も多く聞かれた。試合が近づいたときの食生活や、海外遠征時の食事の工夫などについても具体的な経験が語られた。

水泳においては、水中での練習だけがパフォーマンス向上につながるのではなく、食生活やコンディション調整にも意識を向けることが、選手として大切な力であることが伝えられた。貴重な経験に基づく話を受け、参加者からは食事にとどまらず、競技への向き合い方や日常生活での調整についても多くの質問が寄せられ、ゲスト両氏が一つひとつ丁寧に答える充実した時間となった。

第2部の水泳教室では、東邦スイミングクラブの水泳教室が行われている東邦高等学校のプールにて約1時間のレッスンを実施した。現在も現役選手として活動を続けている砂間氏には、4泳法の模範泳法を披露いただいた。また、会場からの熱烈な要望に応え、平泳ぎの模範泳法では岩崎氏にも泳ぎを披露いただいた。

模範泳法から水泳教室に至るまで、指導の内容は「姿勢」にポイントが置かれた。ストリームラインを整えることが、泳ぎの改善や記録の向上につながる重要な要素であるとの指導をいただいた。水泳教室は、砂間氏による背泳ぎを中心とした講習と、岩崎氏による平泳ぎを中心とした講習を2部交代制で実施し、すべての参加者に対して両氏から丁寧な声かけや技術指導を行っていただいた。

参加者の泳力は、最近選手コースに上がったばかりの選手から、教室開催日の4日後に迫る日本選手権に出場する選手まで幅広かったが、それぞれのレベルに応じた細やかな指導により、多くの人が満足した表情で教室に参加していたことが印象的であった。

教室終了後には、プール内で参加者とゲストが一緒に記念撮影を行い、株式会社ニップンからのパスタや唐揚げ粉などのお土産を受け取って解散した。参加者がゲストに向ける憧憬のまなざしや、偉大なスイマーと直接触れ合うことができた喜びの表情が印象的なイベントであった。

この日参加した、水泳を「する」選手はもちろん、一緒に観覧した保護者やコーチなど、水泳を「見る」人、「支える」人といったすべての“AQUA CREW”にとって、かけがえのない思い出となることを願っている。そして、この経験が今後のさらなる競技活動や水泳体験へと還元されることを期待したい。

結びに、当イベントの開催に多大なご尽力をいただいた東邦高等学校ならびに東邦スイミングクラブ関係各位をはじめ、ご助力いただいたすべての関係各位に深く感謝申し上げる。

バックナンバーはこちら