競技会報告
第102 回日本選手権水泳競技大会AS競技 大会報告
執筆者:レフリー 本間三和子
本大会は、例年とは異なる三つの大きな特徴を有する大会となった。
第一に、開催時期の変更である。長年ゴールデンウィーク期間中に開催されてきた本大会であるが、諸般の事情を踏まえ、本年は5月下旬の開催となった。
第二に、大会のオープン化である。2019年のワールドカップ以来途絶えていた海外選手の受け入れを再開し、インドネシア(クラブ)、フィリピン、韓国、アメリカ(クラブ)の4カ国が参加した。また、World AquaticsジャッジエバリュエーターのGabriela VIGLINO氏(アルゼンチン)を招聘し、国際的な視点から大会運営およびジャッジングの確認を行うことができた。
第三に、日本代表チームの出場である。例年はWorld Aquaticsワールドカップと日程が重なるため、日本代表チームが日本選手権に出場することは叶わなかったが、本年は遠征計画を調整し、出場が実現した。
大会には国内19クラブ、日本代表チーム、海外4カ国から計173人(海外選手8人を含む)がエントリーし、国内最高峰の大会にふさわしい熱戦が繰り広げられた。アーティスティックスイミングは2023年に大幅なルール改正が実施されて以降、競技の発展に合わせて継続的な見直しが行われている。

コーチや選手は常に最新情報を把握しながら演技構成を検討することが求められている。今シーズンの大きな変更点の一つは、アーティスティックインプレッション得点の比重が高められたことである。
近年は高難度ハイブリッドを中心とした構成が主流となる一方で、音楽と動きの調和、多様性、新規性、創造性といった競技本来の芸術的価値をどのように評価へ反映するかが課題となっていた。
こうした背景から芸術面の評価が強化され、世界的にも昨シーズンと比較して創造性豊かなルーティンへの挑戦が見られるようになっている。今回、大会をオープン化したことで、国内の選手・コーチ・審判員が海外チームの演技や世界的な潮流に直接触れる貴重な機会となった。今後も日本のアーティスティックスイミングが、技術性と芸術性の双方を高いレベルで融合させた演技を追求していくことを期待したい。
競技結果は、日本代表チームが出場したすべての種目で優勝を果たした。代表選手の中には、日本選手権で優勝を経験する機会がなかった選手もおり、国内最高峰大会で栄冠を手にしたことは、今後の競技活動に向けた大きな励みになったものと思われる。
また、近年は男子ソロおよびミックスデュエット種目の参加数確保が課題となっていたが、本大会ではすべての競技種目において表彰成立条件を満たす参加者数が集まったことも喜ばしい成果であった。World Aquaticsではミックスデュエットの普及・強化を積極的に推進しており、日本においても男子選手の育成とミックスデュエットの発展に継続して取り組んでいる。今後さらに多くの男子選手が競技に参入し、新たな可能性が広がることを期待したい。

競技以外の取り組みとしては、小学生AS選手によるファーストスイム、チアリーディングのエキシビション、出場選手によるGALAなどが実施され、大会に華やかさを添えた。また、元日本代表選手らで構成されるASアスリートグループが、プレゼンターや場内通告、バックヤードツアーの案内など多岐にわたるボランティア活動を担い、大会運営を力強く支えてくださった。


本大会は、多くの方々の支えによって成功裏に終えることができた。大会準備・運営に尽力いただいた競技役員、審判員、テクニカルコントローラー、実行委員会、クラブ関係者、コーチ、選手の皆様、そして会場運営を支えてくださった東京アクアティクスセンター関係者の皆さまに深く敬意と感謝を申し上げたい。また、長年にわたり日本のアーティスティックスイミングを支援してくださっている協賛各社の皆様にも心より御礼申し上げる。
アーティスティックスイミングは現在、大きな変革期を迎えている。しかし、その変化は競技のさらなる発展に向けた大きな可能性でもある。本大会を通じて、競技普及による裾野の拡大と国際競技力の向上を両輪として進めていくことの重要性を改めて実感した。今後も関係者が一丸となり、日本アーティスティックスイミング界のさらなる発展と世界の舞台での活躍を目指して取り組んでいきたい。

海外チームの参加、日本代表チームの出場、そして国内クラブの成長が一堂に会した本大会は、日本AS界の現在地と未来を示す象徴的な大会であった。レフリーとしてプールサイドから競技を見守りながら、日本AS界の確かな前進を実感するとともに、その発展に携わる責任の重さを改めて感じた。
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