2026.10.14

審判報告

ジュニアパンパシフィック選手権大会 競技役員として参加して

執筆者:派遣競技役員 粟井 崇紀

2026年8月17日から21日まで、カナダ・バンクーバーのブリティッシュコロンビア大学(UBC)で開催されたジュニアパンパシフィック選手権大会に、日本水泳連盟より三田真希委員と私の2人が競技役員として派遣された。

大会会場となったUBCは広大なキャンパスを有し、各国の選手団、コーチ、競技役員は構内のTotem Park student housingに宿泊した。新学期開始前の大学施設を活用した、選手・競技役員が一体となった大会運営であった。

NTO(ナショナルテクニカルオフィシャル)は、カナダ、オーストラリア、アメリカ、日本の4か国から編成され、各国の競技役員が協力して大会を運営した。私たちは、審判長、出発合図員および泳法等を担当し、予選・決勝を通して競技運営に携わった。


今回、特に興味深かったのが、カナダにおける競技役員の育成制度である。Swimming Canadaでは、競技役員をLevel 1からLevel 5までの5段階に分け、経験や研修、実際の競技会での評価を重ねながら、段階的に育成している。Level 1ではタイムキーパーなどの基礎的な役割から経験を積み、Level 2、3と進む中で担当できる役職を増やし、レフリーとしての経験も積んでいく。さらにLevel 4はSenior Official、Level 5はMaster Officialとして、競技運営だけでなく、後進の指導や評価を担う仕組みとなっている。

大会で交流したカナダの競技役員からも、Level 4以上になるとレフリーを担当できるとの説明があり、競技役員一人ひとりが経験を積みながら、次の世代を育てるという考え方が強く感じられた。競技役員の育成を「資格取得」で終わらせず、実際の競技会での経験、指導、評価へとつなげていく仕組みは、今後の日本における競技役員育成を考える上でも興味深いものであった。

競技運営では、日本と異なる点も見られた。スタート時、泳法審判員の立ち位置は7m、15mに設定され、泳法審判員はトランシーバーを使用せず、ゴール後のアイコンタクトで審判長へ合図を送っていた。一方、折返監察員に関する連絡など、基本的な運営には日本と共通する部分も多かった。また、計時員を地元スイミングクラブの選手や保護者がボランティアで担当していたことも印象的であった。

初日のウォーミングアップ中には火災報知器が作動し、全員が一時会場外へ避難する場面もあった。安全確認後に競技を再開し、開始は約30分遅れたものの、その後は大きな混乱なく競技が進行した。

今回の派遣では、競技規則や運営方法の違いだけでなく、各国の競技役員と一つの大会をつくり上げる中で、コミュニケーションの重要性を実感した。また、カナダの競技役員育成制度に触れたことで、競技会を支える人材を継続的に育てていくことの重要性についても考える機会となった。海外の競技運営を直接経験できたことは、今後の競技役員活動に生かすことのできる、非常に有意義な経験となった。

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