2026.10.14

国際大会報告

第11回ジュニアパンパシフィック選手権(2026/バンクーバー) 代表チーム報告

執筆者:ヘッドコーチ 楠田 和史

今回の遠征では、ヘッドコーチとして至らぬ点も多くあったが、スタッフのご協力と支えにより、過去最多メダル獲得数となる成果をあげることができ、無事に活動を終えることができた。遠征に携わっていただいたスタッフの皆さんには、改めて心より感謝申し上げる。

遠征終了後に活動を振り返る中で、現地では気づくことのできなかった課題や、今後に生かすべき多くの学びを得ることができた。特に、ヘッドコーチとして競技面での指導だけでなく、選手の生活面、コンディション、移動、現地での調整、関係者との連絡など、チーム全体の状況を把握しながら、より主体的に指揮を執る必要があると実感した。

今回は、シャペロン、総務、通訳の帯同がなかったため、コーチングスタッフが競技指導以外の業務も担うこととなり、負担が大きくなった。選手の生活面の管理や移動、会場、食事、現地関係者との調整などに対応する必要があり、コーチが競技指導に集中することが難しい場面もあった。一方で、限られた人員の中でスタッフ同士が協力し、役割を補いながら遠征を運営することの重要性を改めて認識する機会となった。

今後は、必要に応じて、選手の生活面を支援するシャペロン、移動・宿泊・会場・食事などを担当する総務、現地での円滑なコミュニケーションを担う通訳の配置を検討する必要がある。ただし、スタッフの人数を増やすことだけが解決策ではない。限られた人員で遠征を実施する場合には、事前準備を徹底し、業務分担、連絡体制、緊急時の対応方法を明確にしておくことが重要である。また、選手自身が担うべき役割についても事前に伝え、スタッフが支援する範囲と選手が主体的に行動する範囲を整理する必要がある。

海外遠征は、単に競技力を高める場ではなく、国際大会における振る舞い、海外での生活、自立して行動する力、他国選手との交流、日本代表としての自覚と責任を学ぶ機会でもある。選手にとって海外遠征の機会は限られているため、遠征前に活動の目的を明確に伝え、帰国後には各自が経験や課題を振り返る時間を設けることが望ましい。競技面以外の学びも含めて遠征を評価し、次の活動につなげることが重要である。

本事業は、将来オリンピックにつながる選手を育成することを目的とした事業であると考える。そのため、シャペロンやサポートスタッフとしてオリンピアンに帯同してもらうことも、有効な方法の一つではないかと思う。オリンピアンであれば、国際大会やオリンピックを経験した選手の立場から、国際大会に臨む心構え、試合前後の過ごし方、コンディショニング、プレッシャーへの向き合い方、日本代表としての責任などを具体的に伝えることができる。実際の経験談や助言は、ジュニア選手にとって大きな刺激となり、将来の目標を具体的に描くきっかけにもなると考える。競技指導だけでなく、選手の成長を支えるロールモデルとして、オリンピアンの帯同を検討していただきたい。

また、選考対象年齢と育成方針についても、今後整理していく必要がある。大学生を選考対象とすることは、競技力や即戦力の面で一定の意義がある。一方で、本事業がジュニア世代の育成を目的としていることを踏まえると、将来の日本代表やオリンピック選手を育成するために、どの年代を対象とし、どのような育成を行うのかを明確にする必要がある。より早い段階から国際経験を積むことは、競技面だけでなく、精神面や生活面の成長にもつながると考える。

今回の遠征は、ヘッドコーチとして自分自身の課題を認識する貴重な機会となった。チーム全体を統括する力、スタッフとの連携力、迅速な判断力、選手の成長を長期的に考える視点が必要であることを実感した。今回の経験と反省を次回以降の遠征に生かし、選手にとってより計画的で学びの多い活動を実現していきたい。選手が競技力だけでなく、人間性、自立心、国際感覚、日本代表としての責任感を身につけられるよう、スタッフ一同で支援していく所存である。

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