2026.04.13

競技会報告

第73回日本泳法研究会 課題流派「神伝流」 岡山県で開催

執筆者:日本泳法委員会 望月南海子

3月21・22日の両日、岡山県倉敷市にて第73回日本泳法研究会が開催された。今年の課題流派は「神伝流」。神伝流が課題となるのは今回で9回目であるが、2014年に、それまで神伝流内の分派とされていた“主馬”が独立し、主馬神伝流として別流派に認定されて以降では初の開催となった。

せとうち児島ホテルでの1日目、有吉伸久日本泳法委員長からの主催者挨拶に続き、主管(特非)岡山県水泳連盟・溝口香会長および神伝流第21世宗師・稲毛啓志氏からご挨拶いただき、開会の運びとなった。

研究発表では神伝流游泳協会教授・今村昌明氏より「神伝流・泳ぎの系譜」と題して、神伝流継承の経緯などから見えてきた游方の違いについて発表された。神伝流には同じ泳形名でも継承されている場所によって泳ぎ方が多少異なるものがある。今村氏による膨大な資料の調査と、丁寧な考察によってまとめられ、継承の歴史から川での泳ぎとして継承されてきた津山系、海での泳ぎとして継承されてきた江戸系と大別された。

現在、津山系は主に西日本と新潟、江戸系は東京を中心とした東日本で泳がれており、夏の大会でも目にすることができる。そのため、違いがあることは比較的広く認知されていたものの、違いが生まれた経緯を知る人は多くなかったと思われる。

今回の研究発表でこの経緯について詳細に検討され、多くの方の目に触れたことは大変意義深いものであると感じた。研究発表の後は懇親会が行われた。普段落ち着いて話す機会が少ない他流派・他団体の方々との談笑や議論の輪があちこちにでき、約2時間、大いに盛り上がった。

2日目の実技発表は児島マリンプールで実施。はじめに稲毛宗師による身滌式が行われ、続いて各泳法の披露に移ったが、前日の研究発表を受け、それぞれの泳ぎで津山系と江戸系の両方が順に泳がれた。違いが際立ったのは片手抜と諸手抜で、津山系は浮力を得にくい川での泳ぎのためスカーリングなどで浮きを取ることを重視し、比較的ゆったりとした泳ぎであった。一方江戸系は、海で泳いでいたため浮きやすく、浮力を得るよりも推進力を重視した力強い泳ぎであった。

研究発表と合わせ、解説を聞きながら実際に泳ぎを見ることで、より一層理解が深まったのではないだろうか。実技発表の終盤では諸手日傘や扇返などの葉技や雁行が披露され、見事な演技に大きな拍手が送られ、盛況のうちに閉会となった。

研究会後には游士資格審査会と日本泳法研鑽会が開催された。游士資格審査会では1人が合格され、日本泳法研鑽会には5人に参加していただいた。審査会、研鑽会とも定期的に開催しており、日頃の修練の成果を試す機会としてぜひ多くの方にご参加いただきたい。

次回の研究会は愛媛県で開催予定(課題:主馬神伝流)。最後に本研究会開催に当たりご尽力いただいた、神伝流一門の皆さま、主管である(特非)岡山県水泳連盟の関係各位に深く感謝申し上げたい。

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