競技会報告
World Cup Montreal 2026 審判報告
執筆者:国際審判員 浅田雅子
2月26日~3月1日にかけて行われたWorld Cup stop1はカナダ・モントリオールで開催された。この季節最高気温が氷点下。肌を外気にさらすと一瞬で凍るような寒さの中、Centre sportif du Parc Olympiqueでは熱いハイレベルな大会が繰り広げられた。
競技会に先立って25日に行われたテクニカルミーティングでは、次に開催されるstop2の開催地であるGuadalajaraについて言及された。22日、メキシコで起こった暴動が複数都市で発生。Guadalajaraもその被害に巻き込まれたこともあって緊張の走る大会の始まりとなった。2月25日の時点でメキシコへの渡航制限または中止勧告の各国の総合的な結果を受け、各国の代表チームの参加は困難と判断。残念ではあるが、選手の安全はWorld Aquaticsの最優先事項であり、正しい判断であったと思う。
2月25日のテクニカルミーティングの後に行われたジャッジミーティングでは、この2月にルールが新しく改正された件に触れられた。内容に関しては大きな変更はないが、ナンバリングや言い回しなどの改正、さらにダイビングマニュアルの改正も現在進められていることが告げられた。
今回のミーティングでは新ルールブックの【10.飛込の採点】に基づき、幾つかの演技の例に対し詳しく説明がもたれた。ミーティングの形式は昨年と異なり、グループで前日の演技について、興味深い演技や問題のある演技を記録、翌日のミーティングで共有し話し合うスタイルで進められた。
(1)審判の基本姿勢について
審判は単にミスを見つけるだけでなく、優れた技術やパフォーマンスを正当に評価する姿勢が重要であることが強調された。また採点を5点から7点程度の狭い範囲に限定せず、幅広くスケールを使用し演技の質に応じた明確な差を示すことが求められた。さらに、各審判は大会を通して一貫した評価基準を維持する必要があり、同程度の演技には同程度の点数を与えることが重要であり、前の演技を覚えておくことと説明された。
(2)演技評価の重点ポイント
・テイクオフ
飛板や高飛の飛び出しの方向が適切であるか、放物線が適正であるかを確認する。飛び出す方向が不適切な場合、演技全体のバランスに影響する。
・空中姿勢
タックやパイクなどの姿勢の正確さ、脚の開き、体幹の安定性など、身体の各部位の位置関係を細かく観察する。
・入水
垂直な入水角度、入水位置、入水時の手の位置などが評価の重要な要素となる。スプラッシュの大きさだけで評価するべきではなく、体格差なども考慮する必要がある。
(3)採点の一貫性について
前日の競技会での演技について、審判間の採点の差異について話し合われた。特に技術的に問題のある演技(特に2群・3群)に対して回転の不足を補うための膝の緩みは演技として不完全であるため、入水が上手くいっても減点が必要。また「不足(4.5以下)」と「満足(5点以上)」の評価の境界を明確にする必要性が共有された。
(4)技術的な問題と安全性
・ 踏み切り前の過度な板の揺れ
不自然な踏み切り動作となり、安全上のリスクがあるため、状況に応じて0.5~1.0点の減点対象となる可能性がある。
・ 踏切の安全性
高飛込では、踏切位置が台に近すぎるなど安全性に疑問がある場合、審判は明確な危険でなくても減点により警告を示すべきであるとの指摘があった。
今大会では審判の採点の一貫性を高めること、演技評価基準を再確認すること、安全性への意識を強化することが主に話し合われた。特に、演技の質に応じた明確な点数差をつけること、技術的欠点だけでなく優れた演技を適切に評価することが強調された。
この貴重な経験を与えていただいたことに感謝し、今後も審判員としての目を肥やしていきたい。
大会情報
World Cup stop1 Montreal 2026
期間:2月26日~3月1日
参加国:25カ国 132人(女子64/ 男子68)
ITO:18カ国 18人
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