その他報告
2025年度全国情報システム委員長会議を開催
執筆者:情報システム委員 鬼頭宏和
1.はじめに
全国の加盟団体情報システム委員長が一堂に会する2025年度全国情報システム委員長会議が、2026年2月21日に開催された。本会議は、各種システムの運用状況や改修内容、現場課題を共有するとともに、加盟団体相互の情報交換を通して、今後の競技会運営や記録管理の在り方を考える貴重な機会となっている。今年度も、WebSWMSYS、記録管理、新記録管理、LRS、競泳リザルトシステムなど、競技会を支える情報基盤について幅広い報告と意見交換が行われた。
2.会議
(1)鈴木大地会長挨拶
全国の情報システム委員長が、登録管理や大会運営システム、記録処理などを通じて、日本水泳界の競技運営を根幹から支えていることへの深い謝意が述べられた。皆さまの日々の尽力によって、全国の競技現場における安定した運営と高い信頼性が保たれていることにあらためて感謝が示された。
あわせて、情報システムは今日のスポーツ界においてICT・DXの推進に欠かせない取組みであり、単なる業務効率化に留まらず、競技力向上、フェアネスの確保、水泳界の持続的な発展を支える重要な基盤であることが強調された。新年度に向けては、正確性と迅速性に加え、「現場にとって使いやすい仕組みとは何か」という視点を大切にしながら、さらなるDX推進に取り組んでほしいこと、また、全国の加盟団体の連携と知の共有が今後ますます重要になることが示された。
(2)委員長挨拶、委員紹介
濱崎泰造情報システム委員長から挨拶があり、昨年度は対面での出席が叶わなかった中、今年度は直接顔を合わせて会議を開催できたことへの喜びを述べられた。また、役員、事務局、加盟団体、情報システム委員への謝意とともに、本会議を通して各システムの発展につながる多くの意見が寄せられることへの期待が示された。
さらに、WebSWMSYSは刷新から2年が経過し、改修を重ねながら使いやすいシステムへと改善が進んでいること、登録管理システムでは3日以内の報告が90%に達していること、RJSやLRSについてもアクセス数が増加し、記録の見える化やDX推進に寄与していることが共有された。その後、各担当委員の紹介が行われた。
(3)WebSWMSYS報告、記録報告ツール報告(鬼頭委員)
WebSWMSYSおよび記録管理システムの運用状況について報告が行われた。
ア WebSWMSYS運用報告(スーパーソフトウェア社)
WebSWMSYSの運用報告では、利用件数は概ね安定して推移しており、記録管理システムについては、4日以上未確定の公認大会記録が0件であることが報告された。改修内容としては、水球競技に対応した帳票追加やCSV出力、大規模大会でのエントリー集計データ非同期出力機能の追加、LRSダウンロードページの整備などが紹介された。あわせて、障害報告件数や問い合わせ件数が前年より減少していることも報告され、運用の安定化が進んでいることが示された。
イ WebSWMSYS活用事例【水球競技】(岡山県水泳連盟 木本さま)
岡山県で実施された桃太郎カップの運用を例に、WebSWMSYSを活用した大会運営の実践が報告された。合同チームを含むエントリー処理や、CSVデータを活用した名簿・帳票・賞状作成など、従来に比べて大幅に効率化され、運営負担の軽減につながったことが紹介され、水球競技におけるシステム活用の可能性が共有された。

ウ WebSWMSYS改修【OWS競技】(石塚委員)
OWSについては、給水・帯同コーチ登録、誓約書アップロード、ビブナンバーのランダム付番、競技結果の収集などを見据えた改修方針が示された。
エ 大会集計データの活用(大串委員)
JSONファイルの活用については、選手情報やベストタイム等を含む一次データとしての有用性が説明され、Pythonや既存ツール、AI等を活用しながら、より柔軟な集計や大会運営につなげていく方向性が共有された。
(4) 新記録管理のシステム化について(田畑委員)
アマチュア証明取得手続きの電子化と、新記録申請のシステム化について説明があった。特に新記録申請については、大会結果のdatファイルをもとにシステムが新記録候補を抽出し、必要情報を補って申請から審査、承認までをオンライン上で進める仕組みを目指していることが紹介された。今後の大会運営や記録管理の効率化につながる機能として期待される。
(5)result site、LRSの報告(データスタジアム社、鈴木委員)
LRS(Live Results Swimming)およびRJS(Result of Japan Swimming)の運用状況についても報告があった。導入初期には接続不安定や表示の乱れが見られたものの、現在は改修が進み、安定運用に向かっていることが報告された。ページビューは大きく伸びており、加盟団体での活用も進みつつある。ランキング表示や大会ページ、ラップタイム比較などの機能改善に加え、今後は新記録表示や選手ページの充実も進めていく方向性が示された。
(6)競技者重複登録について(篠木委員)
2025年度は日本水泳連盟へのマージ依頼が年間2件程度まで減少していることから、加盟団体での適切な処理が進んでいることが示された。一方で、加盟団体をまたぐ重複や、申請中データがある場合の処理など、引き続き運用上の課題があることも共有された。
(7)SEIKO社説明(セイコータイムクリエーション社)
競泳リザルトシステム最新版(Ver6.1.2)のリリースについて、以下の点が説明された。
・2026年4月ごろにリリース予定
・主な内容は以下の通りとなる。
Windows11対応
PowerShell2.0廃止対応
不具合修正
要望を反映した機能改善
(8)全国大会スケジュール(田畑委員)
全国大会の親大会設定、公開予定日一覧を案内した。2026年度は日本選手権の日程が例年と異なり6月開催となるため、大会公開日およびエントリー締切日が例年と異なることが共有された。
(9)Q&A
Q&Aでは、例年同様、現場実務に即した活発な意見交換が行われた。主な内容として、オープン参加への対応、国民スポーツ大会エントリーの二重作業、マスターズ・パラ選手を含めた大会運営、文字コードの運用、CSVアップロード機能、LRSの大会取り下げ方法、スキンレースの扱い、混合リレーの性別コード表示、物件版リザルトの更新課題などが挙げられた。いずれも、加盟団体が日々直面している課題として共有され、継続的に改善を検討していく必要性が確認された。
(10)グループワークセッション
課題解決型学習(PBL)の手法を取り入れたグループセッションも3年目になり、昨年度以上に白熱した議論が行われた。昨年度の要望事項を振り返りながら、今年度は単なる要望の列挙ではなく、「なぜ必要か」「どのように実現するとよいか」「いつまでに必要か」といった視点を加えて、より具体的な提案として整理することが求められた。若手を中心にリーダーを担う形が意図的に取り入れられ、次世代育成の観点も盛り込まれた。

各グループからは、マスターズ・オープン参加との同時運営、ライトタッチ判定の自動化、帳票や電光表示の改善、パーソナルベストやJSONデータの活用、競技役員登録の一元化、ふりがな付きスタートリスト、匿名選手対応、標準記録の扱い、動画配信や大会の「見せ方」の工夫など、システム面と大会演出面の双方に関わる多様な提案が出された。現場の課題が具体的に共有されるとともに、将来のシステム改善に向けた有益な論点が多数示された。

総括では、現場の「困りごと」や「こうなると良い」という声を具体化し、継続的に改善につなげていくことの重要性があらためて確認された。また、今回の内容を次年度以降により多く反映させるため、サポート団体として神奈川県水泳連盟、福岡県水泳連盟が選出された。

(11)金子日出澄副会長兼専務理事挨拶
情報システムは大会運営の「裏方」でありながら、実際には大会の魅力や分かりやすさ、楽しさといった「表」の部分にも大きく影響しているとの指摘があり、単なる処理だけでなく、「魅せる」「分かりやすくする」「楽しくする」という視点も今後いっそう重要になることが示された。
また、人口減少や競技者減少が進む中で、競技会をいかに魅力あるものとして支えていくかという課題に対して、情報システムが果たす役割の大きさがあらためて強調された。あわせて、全国会議や懇親会を通して顔を合わせ、つながりを深めること自体が加盟団体相互の支え合いにつながるとして、今後もこの会議を大切にしながら改善を重ねていきたい旨が述べられた。
3.終わりに
本会議を通して、競技会運営や記録管理を支える情報システム担当者の役割の大きさがあらためて共有された。各種システムは着実に改善が進む一方、現場にはなお多くの課題が残されている。
しかし、全国の加盟団体が知見を持ち寄り、率直に課題を出し合い、具体的な改善策を考えていくこと自体が、日本水泳界全体の基盤強化につながることを実感する会議となった。来年度の会議に向けても、こうした現場発の声を大切にしながら、より良いシステム運用と大会作りが進むことを期待したい。
2026年度全国情報システム委員長会議は、2027年2月6日に開催予定である。

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