2026.04.22

競技会報告

2025年度翼ジャパンダイビングカップ兼国際大会派遣選手選考会報告

水泳/飛込 2025年度 翼ジャパンダイビングカップ 兼 国際大会派遣選手選考会 男子3m飛板飛込 表彰式 1位 伊熊扇李 (日本体育大学) 2位 須山晴貴 (NSP宇都宮) 3位 坂井丞 (ミキハウス) 東京アクアティクスセンター/東京都/日本 クレジット:フォート・キシモト 2026年3月19日 Swimming/Diving Tsubasa Japan Diving Cup 2025 Selection Trials for the International Competitions Men 3M Springboard Medal Ceremony 1st Senri IKUMA (NSSU) 2nd Haruki SUYAMA (NSP Utsunomiya) 3rd Sho SAKAI (mikihouse) Tokyo Aquatics Centre/Tokyo/Japan Credit:PHOTO KISHIMOTO 19/03/2026

水泳/飛込 2025年度 翼ジャパンダイビングカップ 兼 国際大会派遣選手選考会 女子3m飛板飛込 1位 榎本遼香 (栃木トヨタ) 東京アクアティクスセンター/東京都/日本 クレジット:フォート・キシモト 2026年3月21日 Swimming/Diving Tsubasa Japan Diving Cup 2025 Selection Trials for the International Competitions Women 3m Springboard Final 1st Haruka ENOMOTO (Tochigi TOYOTA) Tokyo Aquatics Centre/Tokyo/Japan Credit:PHOTO KISHIMOTO 21/03/2026

水泳/飛込 2025年度 翼ジャパンダイビングカップ 兼 国際大会派遣選手選考会 女子高飛込 表彰式 1位 金戸凛 (セントラルスポーツ/日本大学) 2位 井上優奈 (高知SC) 3位 坂田丹寧 (高崎健康福祉大学) 東京アクアティクスセンター/東京都/日本 クレジット:フォート・キシモト 2026年3月19日 Swimming/Diving Tsubasa Japan Diving Cup 2025 Selection Trials for the International Competitions Women High Diving Medal Ceremony 1st Rin KANETO (Central Sports/Nihon Univ) 2nd Yuna INOUE (Tochi SC) 3rd Akane SAKATA (TUHW) Tokyo Aquatics Centre/Tokyo/Japan Credit:PHOTO KISHIMOTO 19/03/2026

水泳/飛込 2025年度 翼ジャパンダイビングカップ 兼 国際大会派遣選手選考会 男子シンクロナイズド飛板飛込 表彰式 1位 須山晴貴/伊熊扇李 (日本水泳振興会宇都宮/日本体育大学) 東京アクアティクスセンター/東京都/日本 クレジット:フォート・キシモト 2026年3月21日 Swimming/Diving Tsubasa Japan Diving Cup 2025 Selection Trials for the International Competitions Men Synchronised 3m Springboard Medal Ceremomny 1st Haruki SUYAMA/Senri IKUMA (NSP Utsunomiya/NSSU) 2nd Syo SAKAI/Koki ITO (mikihouse/Ritsumeikan) 3rd Koga NIWA/Raichi HEISHI (Kinki Univ/Central Sports) Tokyo Aquatics Centre/Tokyo/Japan Credit:PHOTO KISHIMOTO 21/03/2026

水泳/飛込 2025年度 翼ジャパンダイビングカップ 兼 国際大会派遣選手選考会 女子3m飛板飛込 3位 近藤花菜 (ホンダカーズ群馬) 東京アクアティクスセンター/東京都/日本 クレジット:フォート・キシモト 2026年3月21日 Swimming/Diving Tsubasa Japan Diving Cup 2025 Selection Trials for the International Competitions Women 3m Springboard Final 3rd Hana KONDO (Hondacars Gunma) Tokyo Aquatics Centre/Tokyo/Japan Credit:PHOTO KISHIMOTO 21/03/2026

水泳/飛込 2025年度 翼ジャパンダイビングカップ 兼 国際大会派遣選手選考会 女子3m飛板飛込 決勝 2位 坂田丹寧 (高崎健康福祉大学) 東京アクアティクスセンター/東京都/日本 クレジット:フォート・キシモト 2026年3月21日 Swimming/Diving Tsubasa Japan Diving Cup 2025 Selection Trials for the International Competitions Women 3m Springboard Final 2nd Akane SAKATA (TUHW) Tokyo Aquatics Centre/Tokyo/Japan Credit:PHOTO KISHIMOTO 21/03/2026

水泳/飛込 2025年度 翼ジャパンダイビングカップ 兼 国際大会派遣選手選考会 男子高飛込 表彰式 1位 玉井陸斗 (立命館大学) 2位 大久保柊 (昭和化学工業) 3位 金戸快 (セントラルスポーツ) 東京アクアティクスセンター/東京都/日本 クレジット:鈴木颯馬/フォート・キシモト 2026年3月22日 Swimming/Diving Tsubasa Japan Diving Cup 2025 Selection Trials for the International Competitions Men High Diving Medal Ceremony 1st Rikuto TAMAI (Ritsumeikan Univ) 2nd Shu OKUBO (Showa Kagaku Kogyo) 3rd Kai KANETO (Central Sports) Tokyo Aquatics Centre/Tokyo/Japan Credit:Soma SUZUKI/PHOTO KISHIMOTO 22/03/2026

執筆者:飛込強化部長 安田千万樹

~代表選考の熱戦と日本飛込界の課題が浮き彫りとなった4日間~

2025年度翼ジャパンダイビングカップは、3月19日から22日の4日間に渡って東京アクアティクスセンターで開催され、全国27団体から男子23人、女子22人の計45人が参加した。本大会は、32年ぶりに自国開催となる名古屋でのアジア競技大会の代表選手選考会も兼ねており、代表権獲得を目指し熱戦が繰り広げられた。

【各種目の戦況】
●1m飛板飛込
アジア競技大会の派遣選手選考を目的とし、公開競技として実施された1m飛板飛込。男子は、2023年度日本選手権覇者の伊熊扇李(日本体育大学)が安定した演技を見せて1位となった。随所に良い演技を見せたが、水際の精度が不足し得点が伸びず、合計得点358.30点で派遣基準には至らなかった。女子は、近藤花菜(ホンダカーズ群馬)が227.20点で1位。近藤もベテランらしい落ち着いた演技でまとめるも基準点に至らなかった。

この競技における国際レベルとの差は明確で日本の弱点の一つだ。選考会にこの競技が追加されたことで若手選手の台頭を期待したが、世界基準に匹敵する選手は現れなかった。

●3m飛板飛込
男子3m飛板飛込は、2023年度日本選手権選手権獲得者の伊熊、2024年同選手権獲得者の坂井丞(ミキハウス)、2025年度同選手権獲得者の須山晴貴(日本水泳振興会宇都宮)による三つ巴の戦いが予想された。

結果、勝利を手にしたのは伊熊。最終演技の207Cで評点8点を叩き出す見事な演技で締めくくり、実力者による混戦を勝ち抜いた。ただ、伊熊の課題は予選・決勝と好調を維持できない点にある。決勝では443.80点と高得点を得られている一方で、予選では335.40点の7位に留まっている。爆発力のある素晴らしい選手だが、この点がステージを上げられない原因になっている。練習内容の構成、ピーキングについて見直せば安定度が向上できると考える。持ち前の豪快な演技に磨きをかけ、さらなる飛躍を期待したい。

©PHOTO KISHIMOTO

女子は、パリ五輪代表の榎本遼香(栃木トヨタ自動車/日本水泳振興会宇都宮)が初優勝した。予選から107B、405Bの調整に苦しんでいる状況もあったが、決勝では榎本らしい力強い演技を発揮し294.05点でまとめた。

©PHOTO KISHIMOTO

●高飛込
男子は玉井陸斗(滋賀・立命館ダイビングクラブ/立命館大学)が518.95点で優勝。高得点も好調時には及ばない内容に本人も納得はいかない様子であったが、競技後は肩の荷が下りたように安堵した表情が印象的だった。

©PHOTO KISHIMOTO / SOMA SUZUKI

注目を集めたのは、2位を争う大久保(昭和化学工業株式会社/東京スイミングセンター)と金戸快(セントラルスポーツ)の攻防である。大久保は世界レベルのバネと鋭い水際を武器とし、金戸快は基本に忠実な美しいフォームと高い安定感を誇る。

5種目を終えた時点で金戸快が2位、大久保が3位でその差はわずか5.55点。勝負は最終演技までもつれ込んだ。大久保は最終演技の307Cを見事に決め83.30点を獲得して合計437.05点で競技を締めた。あとに飛ぶ金戸は77.75点のビハインドを背負い、プレッシャーのかかる場面。最後は、逆転の可能性のある109Cだったが得点59.20点と届かず、大久保が2位の座をつかんだ。

女子は、金戸凜(セントラルスポーツ/日本大学)が圧巻の演技で優勝した。怪我から復帰途上、さらにワールドカップ連戦を終えて間もない厳しい状況でありながら、淡々と演技を積み重ねその実力を示した。特筆すべきは、予選・決勝ともに高いパフォーマンスを維持できた点である。国内外の大会では決勝で崩れる場面も多かった金戸だが、今大会は違った。予選321.40、決勝351.45とハイレベルな内容で終えた予選をさらに上回る内容。しかもまだ伸びしろを残している。コンディションの向上とともに、さらなる高得点も狙える。

©PHOTO KISHIMOTO

2位には、中学生の井上優奈(高知スイミングクラブ/土佐女子中学校)が入った。まだ発展途上の選手であり1演技で7.5mの試技も見られたものの、男女全競技を通じて最も高い安定度を示した選手である。本大会ではまだチャレンジャーという立場ではあるが、ベテラン勢を押しのけてのこの結果は、今後の成長を大いに期待させる。世界を目指す上で鍵となるのは水際の技術。焦らず基本を確実に身につけ、さらなる飛躍につなげてほしい。

●高飛込シンクロ
男子は、西田玲雄・山田周汰(岡三リピック/大阪水泳学校)のペアがアジア競技大会代表権を懸け気迫に満ちた演技を見せた。カギとなった5本目の207Bをまずまずの出来で乗り切り、最終演技では得意の107Bをまとめて390.48点を獲得。見事に派遣基準点を突破した。試合後、優勝を労おうとふたりに握手を求めると、緊張から解放されない身体の震えが山田の手から伝わってきた。代表の座を懸けてきた思いと、積み重ねてきた努力がひしひしと感じられ、その姿に感動した。ここで満足することなく、持ち味である入水技術にさらに磨きをかけ、圧倒的な力を身につけてほしいと願う。

女子は、井上優奈/嶋崎菜乃(高知スイミングクラブ/関西学院大学)が262.71点で1位を獲得した。ふたりの練習環境を考えれば、この時期にここまで仕上げるための努力は並大抵なことではない。それを感じさせない清々しい演技は見ているものを魅了したと思う。両選手ともまだ大きな可能性を秘めており、次こそは世界への扉をこじ開けてほしい。

アジア競技大会の選考を兼ねて盛り上がりを見せた一方で、今大会は飛込界が抱える課題を改めて浮き彫りにした。

演技構成や精度の向上が求められるのは言うまでもないが、より深刻なのは演技の安定性である。特に問題なのは、各種目・各選手において予選と決勝の内容が大きく乖離している点だ。

選考会では予選・決勝の両方で高いパフォーマンスを発揮することが求められるにもかかわらず、両ラウンドで力を出し切れた選手はごくわずかだった。多くの選手が予選か決勝のどちらかで大きく得点を落としている。今大会は特に予選で精彩を欠く選手が目立った印象である。

この状況が世界大会で再発すれば、予選敗退は避けられないと言ってよい。エントリー数が少なく、予選でのプレッシャーが相対的に低い国内大会は今後も続く。それに甘んじず、選手・指導者ともに意識を高く持ち、大会ごとに明確なテーマを持って挑まなければ、同様の課題は永続的に改善されないだろう。勝敗だけでなく、予選の重要性にしっかりと目を向けて取り組む姿勢が大事ではないだろうか。

最後に、本競技会開催にあたり、準備・運営に尽力してくださった皆さまに深く感謝申し上げ、今大会の報告とする。

©PHOTO KISHIMOTO

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