2026.09.01

その他報告

令和8年度 第50回全国地域指導者(普及)委員長会議報告

執筆者:地域指導者委員会 白木孝尚

令和8年度の全国地域指導者(普及)委員長会議が、6月6日(土)、7日(日)の2日間にわたり東京ガーデンパレスホテルで開催され、指導者養成事業について熱い議論が展開された。

開会式では、鈴木大地会長から50回目を迎える本会議への祝福と労いの言葉をいただいた。また、スポーツ活動の過渡期を迎え、学校水泳の取り組みや環境を整え水泳活動の裾野を広げていくため、指導者の人材育成が重要事項となると考え、連盟としても積極的に取り組んでいくと力強い発言があった。続いて、齋藤由紀副会長の挨拶、髙𣘺宗良地域指導者委員長から本会議の趣旨が説明された。齋藤副会長からは、指導者資格義務化の流れがある中で、連盟としても共同チームを立ち上げて指導者資格取得システムの構築が進められていることが報告された。また、髙𣘺委員長からは、公的資格の意義が高まっているが、指導者数は減少していること、ハラスメント事案が増加していることに危機感を持っており、指導者はプレーヤーズセンタードと常に学び続ける意識を持つ必要がある旨が伝えられた。

今年度は第50回の記念大会であったため、継続して10年もしくは20年以上にわたり地域指導者(普及)委員長を務められている(務められた)委員長の表彰を行った。表彰者には鈴木会長から表彰状と記念品が贈呈された。表彰対象者は以下に示す21人であった。

◉20年以上継続表彰者(敬称略)
・江良直志(一般社団法人青森県水泳連盟,1997-2010, 2019-2015)
・前川浩一(一般社団法人群馬県水泳連盟,2005-2018, 2021-2025)
・大庭昌昭(一般財団法人新潟県水泳連盟,2001-2025)
・中田光博(一般社団法人石川県水泳連盟,2005-2025)
・中尾  等(一般財団法人鳥取県水泳連盟,2005-2025)
・澤田和憲(一般財団法人島根県水泳連盟,2005-2025)
・中村彰夫(一般社団法人香川県水泳連盟,2003-2025)
・清水雅明(一般社団法人高知県水泳連盟,2009-2022)
・中村和彦(一般社団法人福岡県水泳連盟,2001-2024)
◉10年以上継続表彰者(敬称略)
・伊勢  博(一般財団法人宮城県水泳連盟,2009-2025)
・鈴木  誠(一般社団法人茨城県水泳連盟,2011-2025)
・原  正憲(一般社団法人三重県水泳連盟,2015-2025)
・升田哲夫(一般社団法人京都水泳協会,2013-2025)
・政井貴子(一般社団法人兵庫県水泳連盟,2012-2025)
・荒川勝美(一般財団法人山口県水泳連盟,2013-2025)
・藤野貴央(一般社団法人愛媛県水泳連盟,2009-2025)
・濱野文一(一般社団法人佐賀県水泳連盟,2013-2025)
・宮野るみ子(一般社団法人岩手県水泳連盟,2014-2025)
・荒木英彦(一般社団法人千葉県水泳連盟,2009-2025)
・下窪  正(一般社団法人徳島県水泳連盟,2013-2023)
・山口宗英(一般社団法人宮崎県水泳連盟,2009-2022)

◎6月6日土曜日の会議内容
まず、白木孝尚委員からコーチ1・2の規則が改定されたことについて説明が行われた。大きな変更としては、コーチ2資格の実技検定におけるタイム基準を一部緩和し、泳形を合格基準に設定したことである。泳法については、検定員が基準を統一するために、文面だけでなく補助教材として動画を作成したことも報告された。

次に、加藤慈子委員から指導者管理システムについて、JSPOの管理システムの試験的運用に関する報告があった。すでに運用を開始している鹿児島県から運用のメリットについて詳細な内容も共有することができた。

続いて、堀之内健委員から指導資格保有の義務化について現状の説明がなされた。水泳という高リスクを扱う現場では「安全」と「責任」が重く求められるため、指導者が講習・研修を受け「命を守る」ための知識を獲得する必要があり、資格の完全取得を目指すことが伝えられた。それに向けた取り組みの一つとして、各都道府県として市町村で活動している水泳団体の把握に向けたアンケートを実施したい意向が示された。

また、加藤慈子委員、北川由美子委員から、各種申請の様式の変更や規定の改定等の説明、検定の立ち合いについての提案が行われた。

平野孝幸委員からは、研修の活性化として養成事業で実施したアンケートの分析結果の報告が行われた。評価が低かった項目としては「講義のスピード」「講義の質」「環境」があげられた。評価が高かった項目としては「トップアスリートの体験談」があげられた。また、資格を更新しなかった方へのアンケートも行い、資格を更新しなかった理由として「年齢」や「活用の場がない」があげられた。

更新研修の好事例紹介では、山形県水泳連盟の池田健委員長・愛媛県水泳連盟の藤野貴央委員長からそれぞれ更新研修会での取り組みが報告された。

山形県水泳連盟では昨年度にWHP(ウーマンヘルスプロジェクト)に依頼して「女性アスリート」に関する研修を実施した。講師は医師の野瀬さやか先生、東京オリンピックに出場した貴田裕美先生で、月経など女性特有の体調管理の方法や深刻な状況に陥った場合の治療法について事例を用いて講習を展開していただいた。また、動画を用いた啓蒙活動などもご紹介いただき有意義な学びとなったことが報告された。

愛媛県水泳連盟では、医事委員会に依頼して「脳振盪」に関する研修を実施した。前半は心肺蘇生を実施し、毎年参加される方もいて、全員が熱心に講習に参加していたことが報告された。後半は医事委員会の大辻先生による「水泳と脳振盪」の研修を行った。テーマとしては「脳振盪の実際」「その対応」「選手の復帰」「最終確認」の流れで講習が進んだ。水泳活動の中で一番脳振盪が多い競技は「水球」で約50%にもなる。症状としては、頭痛やめまい、記憶障害、バランス障害など多岐にわたり、症状の訴えがあればすぐに運動を中止し、注意を払う必要があることや、初期対応の重要性、セカンドインパクト症候群などの説明があった。丁寧でわかりやすい講習が展開され、参加者の学びが深まった研修となったことが報告された。

医事委員会が行っている講習としては、脳振盪、ウーマンヘルスプロジェクトに今年度から熱中症対策も追加され、3テーマを扱うことになった。謝金と交通費は基本的に医事委員会で負担するので、希望があれば所定方法で申込みを行ってほしい旨が髙𣘺委員長から説明された。

事例紹介後には、各加盟団体から活発な意見交換があり、他の好事例の紹介も行われた。その後、事務局からの連絡を経て初日の会議を終了した。

◎6月7日日曜日の会議内容
2日目は、平野孝幸委員よりインテグリティ研修が行われた。日本スポーツ協会が提唱する「NOスポハラ」について動画等の資料を確認しながら議論を深めた。「NOスポハラ」では、どんな理由があってもスポーツハラスメントは許されないと考える指導者を100%にすることを目標としており、今回の研修では①想定される事例(講習会・研修会を実施する上でどのような事態が考えられるか)、②予防方法(問題が起きないための対策)についてブロックごとにディスカッションを行った。各ブロックから出た内容を全体で共有し、スポハラに対する学びを深めることができた。

ブロック会議で活発な意見交換が行われた後に、平野委員から2027年から運用される更新研修単位制度に関する説明が行われた。現状でわかっていることだけではまだ情報としては不足しているところもあるため、2026年下期でより詳細な方向性が示される予定になっており、情報が更新され次第、各都道府県と共有していく旨が示された。

最後に、有吉伸久理事、髙𣘺宗良委員長からの主催者挨拶により2日間の会議を終了した。様々なプログラムや意見交換会、ブロック会議を通して参加者が密なコミュニケーションを取ることができ、本当に多くの情報を共有するとともに多様な活動の確認を行うことができた。  今回の会議の成果が今後の指導者養成事業に生かされ、各地でより安全で充実した水泳指導を展開そして指導者育成が実施されることを期待している。

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