2026.10.09

アンチ・ドーピング

スポーツファーマシストとは?

執筆者:アンチ・ドーピング委員 中村 由雅

スポーツファーマシストって何?

スポーツファーマシストとは、アンチ・ドーピングに関する専門的な知識を身に着けた薬剤師のことである。
競技者は、風邪や怪我の治療のために薬を使用することがある。一般の人に問題なく使われている薬の中にも、スポーツの世界では使用が禁止されている成分が含まれている場合がある。そのため、競技者は薬を使用する際に注意が必要だ。
スポーツの魅力は、ルールを守りながら全力で競い合うことにある。そのためには、すべての競技者が公平な環境で競技に取り組めることが大切だ。
スポーツファーマシストは、薬の専門家として競技者が安心して薬を使用できるようサポートし、アンチ・ドーピング規則違反を未然に防ぐ活動を行っている。

スポーツファーマシストの主な活動

スポーツファーマシストの活動はさまざまである。
例えば、競技者や指導者、保護者からの薬に関する相談に対応する。使用予定の薬が禁止物質に該当しないか確認したり、必要に応じて代わりに使用できる薬の情報を提供したりすることもある。
また、競技者や関係者などを対象にアンチ・ドーピング講習会を行う。
アンチ・ドーピング規則違反を防ぐためには、競技者本人だけでなく、保護者や指導者、医療従事者が正しい知識を持つことも重要である。そのため、スポーツファーマシストは多くの人に向けて情報発信を行っている。
他にも大会でブースを開き、薬の相談を受けたり、ゲームやクイズを通じてアンチ・ドーピングの知識を伝えたりするアウトリーチ活動や、競技者が合宿先で使用する薬の管理を行うこともある。

ドーピングはトップレベルの競技者だけの問題ではない

「ドーピング」と聞くと、トップレベルの競技者だけが気を付けるべき問題と思う人が多いかもしれない。しかし実際には、高校生や大学生、地域の大会に出場する競技者など、多くの人がドーピング検査の対象となる可能性がある。
トップレベルになってからいきなり気を付ける習慣をつけるのは難しい。日頃から体内に摂り入れる物には注意する習慣を身に着けておくことが大切である。

身近な薬でも禁止物質が入っていることがある

アンチ・ドーピング規則違反は、意図的に禁止薬物を使用した場合だけではない。風邪薬や花粉症の薬、サプリメントを何気なく使用した結果、知らないうちに違反となってしまうこともある。漢方薬には「自然由来なので安全」というイメージを持つ方も多いようだが、明らかな禁止物質を含む生薬を使用したものもある。自己判断で使用せず、事前に専門家へ相談することが望ましい。貼り薬にも禁止物質が含まれている場合がある。
このような意図しないドーピングでも違反は違反なので、個人やチームに制裁が課される。知らなかったではすまされない問題である。
競技者は自分の体内に入るものについて責任を負うという考え方が基本であり、医薬品やサプリメントの服用も自己責任となるため、服用しているものは名称や使用時期を記録しておくことが大切である。

相談するタイミングが大切

薬を飲んでしまった後に相談されることがある。しかし、使用してしまった後では対応できることが限られてしまう。よって必ず薬を使用する前に相談する必要がある。
複数の機会に確認することで、より安心して薬を使用できるので、医師に薬を処方されるタイミングやドラッグストアなどでお薬を受け取るタイミングなど、禁止物質が入っていないか複数回確認することも大切だ。
禁止表国際基準(スポーツで使ってはいけない薬や方法のリスト)は少なくとも毎年1月1日に改訂されるため、いつも使用している薬がある競技者は、毎年相談するとより安心である。
ここで注意したいのが、すべての医師・薬剤師がアンチ・ドーピングについて詳しいとは限らないということである。禁止物質に関する知識を学んだスポーツドクターやスポーツファーマシストに相談してほしい。

スポーツファーマシストにはどうやって相談するの?

スポーツファーマシストは全国の病院・薬局・ドラックストアなどにおり、インターネットで検索することができる。
また、日本水泳連盟にも所属のスポーツファーマシストがいる。
様々な大会でお薬相談ブースを開いている。アンチ・ドーピング関連資料もお渡しできるので、競技者だけではなく関係者の方も気軽に立ち寄ってほしい。

日本水泳連盟ホームページ・薬の相談窓口のバナーより、日本水泳連盟所属のスポーツファーマシストやスポーツドクターにメールで薬について相談することができる。
こちらも誰でも相談できるので、ぜひ活用してほしい。
https://aquatics.or.jp/anti-doping/

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